木造賃貸アパートのリノベーション

キクラス元住吉

KIKURASU Motosumiyoshi

租税公課の仕組みに起因し、大量に供給されてきた木造のアパートメント。需要に応えつくる時代から需要に受け入れられる時代のなかで、形骸化している街の建築は数知れない。本プロジェクトでは築25年が経過している賃貸住宅の設備の改変とスタイルの変容に追従するプランのフレキシビリティが求められた。典型的な2DKプラン38㎡を改変し、空間を最大効率化することを目指した。例えば1階DKの床をとり払い土間スペースとして一体化することや、2階小屋裏をとり払い空間ボリュームを拡幅することである。外観はリノベーションの意思と住人のスタイル集積をイメージし、おもちゃ箱をひっくり返したようなウイットを街に提供した。

敷地面積674.07㎡
建築面積274.71㎡
延床面積437.22㎡
階数地上2階
構造既存木造
専有庭の通風を確保するため、旧来の大和塀方式を採用。再生木材に定着する塗材にて着色を行った。塀下には斑入りヤブランやローズマリーを植え込み、風通しの視覚化を狙った。
バルコニー手摺壁を改変。アパートメントのワンユニットの見え方がおおらかになるように工夫した。屋根の色、開渠のフェンスの色、アスファルトの色とも似合うカラフルさを目指した。
既存のアスファルトを一部ハツリ庭の地面とつながる柔らかな仕上げに変更。
もの干し部には止まり木を設置。鳥のさえずりで朝の目覚めを。
集合ポストコーナーには雨樋を活用したハンギングプランターを設置。乾燥に強い多肉植物を植え込んだ。
プランは3タイプ作成した。土間プラン、キッチン対面プラン、小屋裏プラン。駐輪場スペースに付随する余剰スペースは住人の作業スペースや子どもの遊び場として機能することを意図している。
平面図
土間プラン。入り口を背にリビングダイニングを見る。大きな土間と小上がりの空間構成。間仕切り壁をとり払い、構造体はグレー色に塗装している。