駅ビル屋上庭園のランドスケープデザイン

ラスカの杜(JR平塚駅屋上)

LUSCA NO MORI

商業施設に限らず、屋上空間の有効利用は難易度が高い。立地特性にも左右されるが、屋上空間は全般的に風が強く、日差しも強く乾燥気味であるため植物にとって過ごしやすい環境であるとはいえない。それは人も同様で、空調環境が整った売り場からわざわざ過ごしづらい空間に行く動機は見当たらない。このような課題を克服することや、これからの商業施設にあるべき屋上のあり方を探った。かつて海辺を意識したであろうレストランの意匠に相応しい、水面のような芝地と波止場と、浜辺のような構成をイメージ。暑い日差しを和らげ、過ごしやすさを演出するパーゴラ空間を形成した。緑量の担保、管理維持コストの軽減を目論み、アクアソイル工法による環境配慮型(貯水式、無潅水)屋上庭園を実現した。

施工面積111.75㎡
パーゴラ軒下部の造作ソファベンチを見る。屋上緑化で最も重要となる土量を確保。パーゴラ上部に向かって登攀する植物の緑量を担保する設計となっている。
浜辺に見立てた樹脂系左官のテラスからの全景。休憩スペースとしての稼働率が高まるように設置された木漏れ日テラスと、付随する造作ベンチと芝生マウンドの関係。
戸外テラスを見る。既存のガラス灯を活かし、乾燥に耐えるオリーブを植樹。ネーミングに合わせたヨーロピアンスタイルを演出している。
湘南の海を遠望する俯瞰写真。ドーム屋根は駅の象徴として残し、屋上の緑量を地上からも垣間見られるようガラス手摺としている。
発泡材とアクアソイルによりアンジュレーションを形づくり、芝生を張り込んだ。
木漏れ日テラス内の植栽を見る。木漏れ日テラスの緑化完成スピードを高めるために、植栽ますを桁部に抱かせている。強い日差しに植生スピードが衰えないように木製のブラインドを設け、葉の水分量を担保している。

日差しを制御する木漏れ日空間の創出

テニスコートとして活用されていたネットポール基礎を活用してパーゴラ構造躯体を支持。四周にある基礎を目隠しするとともに植栽ます土量確保のため、立ち上がりをつくり更にウッドデッキがオーバーラップする設計。パーゴラ軒先部に生まれる、たゆたう空間の創出を狙っている。